お正月はこれで決まり!元ランナーが教える箱根駅伝の観戦ポイント


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日本の学生スポーツといって、甲子園と並び注目度の高いものが箱根駅伝ではないでしょうか?

甲子園は夏休みの間NHKで一日中放送され、箱根駅伝はお正月の2日3日に合計12時間近くも放送されるわけですから、嫌が応にも注目度は高まるというものかもしれません。

さて、その一つである箱根駅伝ですが、あまり知られていませんが、実は関東ローカルの大会です。

出場できるのは関東学生陸上競技連盟に所属している大学のうち、前年の10位までに入ったシード校と11月の予選会の上位10校、そして予選会出場者のうちの成績上位者で選抜される関東学連選抜の合計21チームが出場できます。

この箱根駅伝を走ることが夢と語る高校生選手も多いことから、大学進学を機に関東へ上京する学生が多く、関東ローカルの大会ではあるものの、関東の大学のレベルは群を抜いており、走る距離やその過酷さを考えれば、実質的には学生日本一を決める駅伝大会といっても過言ではないでしょう。

一度ハマるととことん知りたくなってしまう、dellablog読者のみなさんのようなこだわりタイプの男性の為に、今回はお正月の風物詩である箱根駅伝を見る際に、どんなところを見たらよいか、元ランナーの私が詳しい視点で語っていこうと思います。

箱根駅伝観戦ガイド①往路区間

箱根駅伝はその正式名『東京箱根間往復大学駅伝競走』といい、その名の通り、東京・大手町から箱根・芦ノ湖までを往復する駅伝です。

1月2日に箱根まで行く『往路』、1月3日は東京に戻ってくる『復路』です。この項では往路区間について紹介します。

1区(東京・大手町〜鶴見中継所:21.3km)

東京の中心から川崎を抜け、横浜市の鶴見区まで一気に駆け抜けます。国道15号をメインとしたコースはほとんどアップダウンがなく、唯一の高低差と言える多摩川を超える六郷橋が最大のポイントです。

この六郷橋はランナーが最もキツくなる全体の距離の80%から90%あたりに存在するため、ここで仕掛けてレースが動く展開が多いです。

また、出場校が全員揃ってスタートする唯一の区間でランナーの実力が反映されやすいため、トラックで一定の実績を持ったランナーを配置することが多いです。

2区(鶴見中継所〜戸塚中継所:23.1km)

箱根に限らず、駅伝の流れを決める『花の2区』。しかし箱根駅伝の場合はその過酷さから各校エースを配置します。

過酷さの所以は横浜市戸塚区に入るあたりから始まる3kmほどのだらだらとした登りの『権太坂』とその後に訪れる残り3kmの急な登りです。

坂だけでいけば当然5区の方が過酷なのですが、それまでほとんどフラットなスピードコースだったところで権太坂が始まってスタミナを大幅に削られたところで最後のとどめの急な坂です。

このコースを考えた人はいい性格をしていると思います(笑)。各校のエースがこの2つの坂が終わった後、中継所で倒れこむ姿も珍しくありません

3区(戸塚中継所〜平塚中継所:21.4km)

3区は高台にある戸塚中継所から駆け下りてほぼフラットなコースを平塚まで走ります。

途中湘南の海風を受けやすいコースになっています。近年各校の実力の拮抗していることから、2区で大きな差がつかなくなってきており、この3区のウエイトが大きくなっています。

4区(平塚中継所〜小田原中継所:18.5km)

全区間で唯一20kmを切り、かつほぼフラットな区間です。

学生にとっては20kmを切ると短い区間という認識になるらしく、中距離を専門としたスピードランナーが配置されるケースもある区間です。

つなぎの区間という印象ですが、レースの戦略上、また癖の強い5区へ有利な形へつなぐため、ここの区間の選手起用が最終的な勝敗を左右するケースもあります

5区(小田原中継所〜箱根・芦ノ湖:23.2km)

箱根駅伝が箱根駅伝である最大のポイントとなる区間です。

全区間で最長かつ高低差864mを走って登るという人間の限界に挑戦するような区間です。

単純な登りというだけでなく、20km以上ほぼ坂道、山風、標高差に伴う気温の急激な低下など、あらゆる障害がランナーを苦しめます。

これほど過酷なコースなため、ランナーの適性が非常に出やすく、数年に一度、『山の神』と呼ばれるスター選手が誕生することも見ものです。もし箱根駅伝を見る時間が取れない人も、ここ5区だけは見た方が良いでしょう

箱根駅伝観戦ガイド②復路区間

1月3日は芦ノ湖を出発して東京へ戻るコースです。前日の着順に時間差でスタートになります。

ここで面白いのが、トップから10分以上の差がついた学校は一斉にスタートするというルールです。

これがもとで復路は仕切り直しができるのと、見た目の順位と実際の順位が変わってくるため、よりレース展開に目が離せなくなります。

6区(箱根・芦ノ湖〜小田原中継所:20.8km)

5区の逆ですのでまさに『山下り』です。

下りだから楽だろうと思われるかもしれませんが、20kmを自分の能力以上のスピードで駆け下りるというのは想像以上にきつく、脚への負担は相当なものです。

また、小田原に入ってからの平坦な道はランナーにとって上り坂のように感じられるとも言われ、このコースの過酷さを物語っています。復路の1区でこのように癖の強いコースのため、各校専門の選手を配置するケースが多いです。

7区(小田原中継所〜平塚中継所:21.3km)

4区の逆ですが、距離が若干長くなっています。

コース自体は平坦で全区間の中でも最も走りやすいコースと言われていますが、復路の2区という位置付けとスピードが出しやすいコースの為、強豪校はここに準エース級を据えることもあります。

8区(平塚中継所〜戸塚中継所:21.4km)

ここも基本的に平坦ですが、中継所のある戸塚近郊は高台に位置しており、必然的に上りを走ることになります。

横浜側から登る2区と違い、藤沢側から登るこちらはそこまで急激な上りではありませんが、コースの終盤にだらだらとした登りが続くため、ランナーへのダメージは非常に大きなものとなります。

ちなみにここ8区の区間記録はなんと1997年のもので、全区間で最も古い記録になっています。

9区(戸塚中継所〜鶴見中継所:23.1km)

2区の逆ですが、戸塚から坂を下る格好になるため、コースの難易度は大分下がり、最初に坂を下った後はほぼ平坦なコースが続きます。

横浜駅を人通りの多い昼に通過するため、沿道に非常に人が多く、応援の人気スポットです。

ここまで160km以上つないでいるため、この区間を走る頃には前の順位が全く見えないまま追いかける展開になっている場合が多く、競り合って力を発揮するタイプのランナーより、一人で安定した力を発揮するタイプのランナーが起用されます。

また、最後の鶴見中継所では襷を渡す前に200m前後の直線があり、この区間を走っている間に繰り上げスタートになってしまうなどのドラマが生まれるケースが多いです。

10区(鶴見中継所〜東京・大手町:23.0km)

長い戦いもついにフィニッシュを迎えるアンカー区間は、襷をもらって直後の六郷橋と途中区間の新八ツ山橋以外はほとんどアップダウンのない区間です。

コース難易度はそれほど高くありませんが距離がそれなりに長く、確実にゴールする、確実に勝つといったフィニッシュに向けた責任の重大な区間のため、ここにいかに堅実かつ実力のあるランナーを配置できるかが強豪校のポイントになっています。

 

日本のマラソンの地盤沈下が叫ばれて久しいです。特に男子のレベルの低下はこの箱根駅伝の燃え尽き症候群にあると言われることもあります。

確かに駅伝と言わず、陸上競技の中ではこの箱根駅伝は最大のイベントなのは間違い無く、この大会への出場、勝利に向けて学生が取り組む姿勢は鬼気迫るものがあります。

そうした競技への取り組みがマラソンへの弊害になっているはずは無く、燃え尽き症候群というのであればこれよりも大きなイベントがないことが原因でしょう。

そうであるならば、この箱根駅伝を全国規模にするとか、同等規模の実業団版箱根駅伝を作るなど、むしろ盛り上げる方向に考えれば良いのではないでしょうか?