緊急特集!奇跡のチーム『レスターシティ』とは?


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出典 http://www.footballchannel.jp

ヨーロッパのサッカーリーグも最終盤に入り、話題は主に以下の4つになってきています

・リーグ優勝の行方は?
・CL、ELの出場権を獲得するチームはどこか?
・降格レースの行方は?
・得点王などの個人タイトルレースの動向は?

このうち最も重要なのは言うまでもなくリーグ優勝の行方ですが、4大リーグ(スペイン、イタリア、イングランド、ドイツ)のうち、イタリアとドイツは”ほぼ”決まり、スペインは王者バルセロナの突然の失速により3チームが勝点1の中にひしめき合う大混戦になっています。これはこれでもちろん注目に値するのですが、今回のテーマはイングランドのリーグ優勝の行方です。

実は状況的に見てイングランドのリーグ優勝は”大方”あるチームに決まってきています。ただしそのチーム、レスターシティというチームはハリウッドの映画になってもおかしくないくらいの奇跡を起こして今の位置にいるチームです。
今回は日本代表の岡崎慎司も所属するこのレスターシティについてその奇跡を紹介していきます。

レスターの状況について

2016年5月2日時点のレスターシティは強豪ひしめくプレミアリーグで勝点77を稼ぎ堂々の首位に立っています。1試合消化が少ない2位のトッテナムとは勝点8の差があり、残り3試合をトッテナムが全勝し、かつレスターが残り2試合を1分け1敗以下の場合のみ逆転されるという、レスターにとって極めて優位な状況です。

しかもレスターはここまで36試合戦ってきてわずかに3敗しかしておらず、ここにきて2連敗することはまず考えられないため、常識的にはレスターの優勝は”大方”決まったと言っても良い状況にあります。

このレスターシティですが、おそらく、聞いたことがないという方が大半でしょう。その通り、レスターはいわゆる”ヨーヨーチーム(昇格と降格を繰り返すチームの事)”で、昨シーズンも最終盤に怒涛の連勝を重ねてなんとか一部残留を勝ち取ったスモールクラブです。

チームの年俸の総合計は約77億円。年俸総合計のトップはチェルシーで345億円と言われていますのでなんと5分の1の規模です。現在の主力選手の獲得時の移籍金の合計も合計で42億円(ちなみに移籍金の最高額は岡崎の12億円)と、マンチェスターシティがケビン・デ・ブルイネ一人を獲得するのに使ったお金(約100億円)の半分以下です。

プレミアリーグは1992年に現在のレギュレーションになってから20年あまり経っていますが、その中で優勝したチームはわずかに5チームのみ。マンチェスターU、マンチェスター・シティ、アーセナル、チェルシー、ブラックバーンの5チームです。ブラックバーンは例外ですが、残りはいわゆるビッグ4と呼ばれる超ビッグクラブであり、イングランドのみならず、欧州にその名を轟かせるようなチームです。

そんなクラブたちを向こうに回してリーグ戦の首位に立っているのですから、これは奇跡というより他ないでしょう。

レスターの強さの秘密

リーグ戦の序盤に首位に立つなどのサプライズをもたらすチームがいること自体はそれほど珍しいことではありません。しかし、それを最後まで続け、あまつさえ優勝してしまうというのはマグレで起こせるものではありません。レスターのここまでの結果は奇跡と呼んでおかしくないものですが、このチームが勝ってきたことは奇跡ではなく”必然”と呼べるものです

レスターの戦法は至極単純。そのものズバリの”カウンター”です。規模に劣るクラブがビッグクラブを相手にする場合、個人能力で劣る分ボールを長時間保持できないため、あえて相手にボールを持たせ、自陣に下がって敵からボールを奪うことに専念、奪ったら一気呵成に攻め立ててゴールまで陥れるというものです。

決まれば綺麗ですが当然ながら相手に攻められ続けることになるので

①強力な守備
②ワンチャンスをモノにできる高い決定力、そして
③奪ったボールを素早く敵ゴールまで運べるスピードと運動量

が求められます。レスターはこれら全てを高次元に備えたカウンターのお手本のようなチームと言えます。

守備に岡崎が貢献

②及び③については今シーズン大ブレイクした二人、ジェイミー・ヴァーディーとリヤド・マフレズの二人の存在が非常に大きく、チームの総得点の6割を占めています。スピードと決定力を兼ね備えたこの二人がレスターの攻撃の核と言っても過言ではありません

そして最も重要な①に岡崎が大きく貢献しています。FWである岡崎が敵のボランチやCBにプレッシャーをかけ、敵の攻撃を遅らせることで味方の帰陣の時間を稼ぐことができ、敵のパスコースを減らして守りやすくしているわけです。

また、アンカーに入っているエンドロ・カンテのボールハント能力はまさに特筆もので、彼が最終ラインのフィルター役になることで味方の守備の負担が大きく軽減しているわけです。

なお、岡崎は得点数こそ少ないものの、重要なゴールが多く、またボールのないところで敵のディフェンスラインを撹乱させる動きを続けていることで相棒のヴァーディーが点を取るためのスペースを作る役割も担っています。

また、これらのタレントの特性を見出し、個人能力を組み合わせてチーム力に昇華させているのが戦術の国イタリアが生んだクラウディオ・ラニエリ監督になります。かつてチェルシーやバレンシアなどのビッグクラブ率いてカウンター戦術を浸透させようとした監督です。

ビッグクラブでは選手を掌握しきれない傾向があり、優勝経験はなかった彼がスモールクラブで献身性に優れた選手の多いスモールクラブであるレスターにおいては非常にうまくハマったと言えるでしょう。
いくつもの幸運も重なり、レスターは今の位置にいるということもできます

まとめ

今回のレスターの奇跡は、ハードな日程の中で欧州カップ戦の出場資格がなく、国内のカップ戦は早期に敗退している事、さらに今シーズンのマンUとチェルシーの大不振など、いくつもの偶然が重なった部分も間違いなくあります。

しかしながら、競合ひしめくプレミアリーグで35試合以上を戦って首位にいることは間違いない事実であり、ビッグ4を含む競合にも確実に勝っているということからも、このレスターが勝者にふさわしいチームであると言えます。

いずれにしても今回のレスターの奇跡は今後プレミアリーグの歴史上燦然と輝く大偉業と言ってよいでしょう。

追記

その後レスターシティは第36節にプレミアリーグ優勝を確定させました。

勝てば文句なしだったのですがエースのヴァーディーをサスペンションで欠き、かつアウェーでマンチェスター・ユナイテッドということもあり試合は引き分け(それでもCL出場のかかっているマンUにアウェーで引き分けというのは勝ちに等しい結果ですが)でしたが、2位のトッテナムがチェルシーに引き分けたため優勝が決定しました。

岡崎は香川に続いてプレミアを制覇した2人目の日本人選手になりますね。

もちろん岡崎だけでなく、レスターの面々には心から祝福したいと思います。