日本サッカーの牽引車。本田圭佑と香川真司について【後編】


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前回、日本サッカーの牽引車。本田圭祐と香川真司について【前編】として、彼らの基本情報、そして違いについて書きました。今回は続いてさらに深く二人の魅力に迫っていきましょう。

本田と香川の”共存問題”について

ここまで述べたように本田と香川は同時に活躍した事例こそ多くないものの、その正反対のプレースタイルは補完性が高く、共存問題どころかむしろ相性の良いコンビと言えると思います。彼らの共存問題というのはマスコミが作り上げた幻想と言っても良いかもしれません。

ただし、二人の適正ポジションはどちらもトップ下。ポジションの面で言えば確かに競合してしまうのは事実と言えるでしょう。こうした事情からか、評論家やファンの中にはすでに次回ワールドカップには30歳を超える本田を外して香川をトップ下に据えるべきとの声も多く聞かれます。決して間違っているとは言いませんが、本田が日本代表の中で類い稀な能力を持っているのは間違いない事実であり、その彼を外すことを前提に考えるというのは少々強引すぎると思います。何より香川はあくまで「使われて」活きる選手であり、周囲の選手の能力次第でその特長が殺されてしまう傾向の強い選手です。香川を「使える」選手という意味でも本田にはまだまだ日本代表を引っ張って行ってもらいたいものです。

ではその二人の共存をどうするかという問題ですが、私が考えるのは以下の形です。

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図のように本田のポジションを少し下げ、ボランチ気味の位置に配置する4−1−4−1に近い形です。本田をボランチにすることでそのパス能力を生かしつつ、攻撃時にはトップ下付近まで上がって攻撃の枚数を増やすとともに、守備時にフィジカルを活かしたボール奪取にも貢献できることを想定しています。また基本的にパサーである本田は現在のハリルジャパンのようにサイドに置くよりも中央でピッチ全体を俯瞰できた方がその能力を活かしやすいと考えます。

一方香川はサイドに置いてしまうと能力が大きく殺がれることはブラジルワールドカップで証明済みです。また自分の近くに実力の近い使ってもらえる選手と、自分の前にもポストプレーのできるFWを必要とする、戦術的な制約の大きい選手のため、トップ下に置くしかありません。しかし、環境を整えてあげれば強豪相手にも十分実力を発揮できることも証明済みのため、彼のために周囲の環境を整える価値は十分にあると言えます。むしろ課題は香川の実力を生かせる選手が本田以外にいるかということです。

香川と本田を生かす選手と戦術は

上記のシステムで戦う場合の香川と本田以外の選手をどうするかというのは日本代表の大きな課題です。私自身、この課題に明確な解決策はありません。香川、本田共通して言えるのは、二人とも本質的にMFのため、二人の前方にFWが必要ということです。特に戦術的な制約の大きな香川に対しては前に来るFWに自らが抜け出して点を取るよりも、ゴールに背を向けて本田からのパスを受けつつ、香川(と本田)にプレーの選択肢を与えるタイプのプレーヤーが理想でしょう。現在日本代表の1トップはその実績から岡崎慎司が担っていますが、彼はどちらかというと敵のディフェンスラインの裏を取って抜け出すプレーを得意とするタイプで、本田のパスを生かすことはできるかもしれませんが、香川との相性はあまり良いとはいえません。今の代表のメンバーで言えば適任は岡崎よりもフィジカルの強い武藤嘉紀かもしれません。現在は怪我で離脱していますが、武藤の今後の活躍には要注目です。

なお、1トップ候補については実は思わぬ伏兵がいます。本田圭佑です。南アフリカの時の彼のプレースタイルはカウンターをベースにした守備的な戦術も相まって実に巧みにポストプレーをこなす1トップでした。香川を生かすという意味でも、香川の近くに来る1トップに本田を据えるというのは現実的な選択肢と言えるでしょう。ブラジルなどの強豪チームと当たって守備的な戦術を敷く必要がある場合、本田をボランチから1トップもしくはザック時代に試したように香川との2トップ気味に配置するというのは理にかなった選択肢かもしれません。何れにしても、トップ下の香川の前か後ろに本田を配置することで香川の能力を十分に生かすことが出来ると思います。

まとめ

本田と香川は間違いなく日本代表の中心選手です。しかし、27歳の香川はともかく、現在29歳で次回ワールドカップ時には32歳になる本田に対しては今以上の成長は難しいかもしれません。そもそもサッカーは怪我をしやすく、好不調の影響が出やすいスポーツでもあり、ワールドカップ時に二人とも好調でいる保証もないわけです。一番の理想は彼ら二人に比肩するような実力を持った選手が何人も現れ、戦術的な幅をもたらすことです。その意味では現在Jリーグでプレーしている宇佐美貴史やオーストリアのザルツブルグでプレーしている南野拓実、ハノーファーの絶対的中心選手である清武弘嗣などの一層の成長が望まれます。

また、上で述べたように本田と香川の二人の能力を最大限に生かすためには本田のパスを受け、香川とコンビネーションを構築できる1トップが絶対不可欠です。本田を上げるという選択肢は理にかなっているとはいえ、彼のパサー能力が活きなくなってしまうことから、理想的な1トップFWの出現が望まれています。二人は日本代表の就寝ではありますが、勝てるチームになるためには二人だけではなく、やはり周りのサポートが絶対不可欠ですね。