日本サッカーの牽引車。本田圭佑と香川真司について【前編】


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皆さんは現在のサッカー日本代表の中心人物というと誰を思い浮かべますか?

試合の上での中心、チームとしての中心など、考え方はいろいろあると思いますが、老若男女全てにアンケートを取ったとすると十中八九で本田圭佑もしくは香川真司になると思います。二人の実力については今更説明するまでもありませんが、実績、能力とも現在の日本代表で群を抜いているのがこの二人です。

日本代表の中の代表選手

本田圭佑:

南アフリカワールドカップ直前に日本代表の中心選手となり、当該ワールドカップで代表MVP級の活躍。名古屋グランパスからオランダのVVVフェンロというスモールクラブへ移籍し、チームの絶対的中心としてチームの1部昇格に大きく貢献する。その後ロシアのCSKAモスクワへ移籍し、そこでも中心選手として活躍。途中参戦ではあったがチャンピオンズリーグで強烈なFKを決めクラブ史上初のベスト8進出に大きく貢献した。ロシア生活を経て現在はACミランの背番号10を背負う。不安定なチーム事情の中、力強いパーソナリティーを武器に奮闘中。

香川真司:

南アフリカワールドカップではサポートメンバーとして帯同。ザックジャパン発足後に日本代表の背番号10を背負う。J2のセレッソ大阪からドイツの強豪ドルトムントに移籍し、当初の懐疑的な意見を吹き飛ばしてセンセーショナルな活躍を披露。チームのブンデスリーガ2連覇に大きく貢献した。その活躍を認められイングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッドに移籍するも、チーム事情で不得意なプレーを強いられ本来の輝きを失ってしまう。失意の中、古巣ドルトムントから再び声がかかり、2014〜2015に復帰。当初は不振に喘いでいたが徐々に本来の輝きを取り戻す。復帰2シーズン目の2015〜2016シーズンは一時ベンチに降格した時期もあったが最終盤に怒涛の活躍を見せ、完全に本来の輝きを取り戻している。

 

海外移籍後の二人の略歴をまとめるとこんな感じです。実に対照的な経歴を歩んでいると言えるのではないでしょうか?一方日本代表はこれまでも2人のエースが存在し、その共存問題というのがありました。中田英寿と中村俊輔、中田英寿と小野伸二、中村俊輔と本田圭佑、そしてこの本田圭佑と香川真司もその一例と言えるでしょう。今回は日本代表を背負って立つこの二人について、その経歴やプレースタイルの違い、そして共存問題についてまとめました。

本田と香川の”違い”について

前段で述べましたが本田と香川は経歴が正反対です。本田は高校サッカーからJリーグへ入り、マイナーリーグのスモールクラブから徐々にキャリアアップを果たして今の地位にいます。これに対して香川は高校サッカーを経験せずにクラブチームに入り、Jリーグチームから一気にドイツの強豪へ移籍して中心選手になりました。語弊があるかもしれませんが、一声で言ってしまえば、本田:苦労人、香川:エリートのイメージでしょうか。

このキャリアの違いが影響しているのかもしれませんが、二人のプレースタイルはそのキャリアを反映したような違いが見て取れます。

本田はその言動の影響で誤解されがちですが、俺が俺がのエゴイストでは決してなく、ピッチ上では非常にクレバーでチーム全体のバランスを考えながらプレーする文字通りの「司令塔」です。彼の最大の特長はその強靭なフィジカルを活かしたボールキープにより味方が攻め上がる時間を作れることにありました。ここで過去形としたのは、2011年に負った膝の怪我の影響で少しプレースタイルが変わり、現在はフィジカルを前面に出して「耐える」よりもスピードやアジリティで「いなす」プレーが増えています。何れにしても彼の真骨頂は卓越した戦術眼を武器に周りの選手を”使って”活かすプレーにあると言えるでしょう。

香川はまさに逆でどちらかというとトラップ、ドリブルの一瞬のひらめきを武器に狭いスペースをスルスルと抜けていくようなプレーを信条とする選手で、感覚を生かしたプレーが多いことが特徴です。基本彼は”使われて”活きるタイプの選手ですね。このため自らのイメージを共有出来る選手が傍にいないとその魅力が半減してしまいます。イングランドで輝けなかったのはまさにこれが原因と言われています。香川自身も当然努力して、アタッカーからパサーへのスタイル変更を行いました。しかしこれが元で本来持っていたアタッカーとしての感性がさび付いてしまい、ドルトムント復帰後もしばらくの間苦労することになってしまいました。今シーズン最終盤になりようやくその感覚を取り戻したようでここにきて得点を量産し始めています。

上記のように本田と香川は適正ポジションこそトップ下で被っていますが、それ以外のプレースタイルは全く正反対と言っても良いほどの違いがあります。

ちなみにこれは都市伝説レベルの話ですが、欧州移籍後、本田と香川は同時に活躍したことがほぼありません。本田が怪我や不振で苦しんでいる時には香川は大活躍し、香川がスタメンを外されたり酷評されているような時は本田が活躍するという具合に、揃って大活躍という事例が不思議なほどないのがファンをヤキモキさせる一因にもなっています。

続きは、日本サッカーの牽引車。本田圭佑と香川真司について【後編】で、本田と香川の共存問題について、そして彼らを生かす選手と戦術について考察していきます。